微分方程式論の一端を覗く-自由落下運動と2次元点渦系を例に-(高橋 亮 著) -奈良教育乐竞体育_乐竞体育app下载-官方网站 出版会-
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2.微分方程式とは この節で、微分方程式とは何かを簡単に説明しておきましょう。その名のとおり、微分方程式は微分の項が入った方程式です。言葉としては、「微分」と「方程式」から成ります。具体例を挙げる前に、復習(または予習)を行いましょう。 微分は高校数学で学習する概念で、ある量の変化率を表す指標として知られています。数学の言葉で説明すると、 を変数とする実数値関数 に対して、その微分(導関数、微分係数ともよばれる)( とも書かれる)は次のように定義されます。 (1) (1) は での の瞬間変化率を表しています。幾何学的には、グラフ の での接線の傾きを表しています。一方、方程式は中学数学で学習する概念です。方程式は未知変数を含む等式のことで、その等式を成立させる未知変数を解とよびます。例えば、 は一次方程式とよばれ、その解は です。 言葉を準備したところで、微分方程式の簡単な例を一つ挙げておきます。高校物理で自由落下運動を学習します。自由落下の運動方程式は次のように記述されます。 (2) ここで、 は質点の質量、 は時間、 は質点の位置(位置は鉛直下向きを正の向きとする)、 は質点の加速度( は質点の速度をあらわすので、加速度は速度の瞬間変化率と解釈する)、 は重力加速度をあらわします。数学の言葉で置き換えると 、 は定数、 は独立変数、 は未知関数です。したがって、(2) は( を独立変数とする) についての微分方程式です。 という微分の項が入っていることに注意してください。(2) の解は次のように与えられます(自力で確認してみましょう)。 (3)
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