理科教育学を構築し、分かる授業を展開する(石井 俊行 著) -奈良教育乐竞体育_乐竞体育app下载-官方网站 出版会-
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- 10 - (interdisciplinaryattitude)」があったと思われる。理科の解法で数学の問題を解こうとした生徒は31人おり、そのうち正答した生徒は18人(58.1%)であった。すなわち、「学習の転移」を起こした半数以上の生徒が、「数学テスト」を正答していた。「学習の転移」を起こした生徒の半数以上の生徒が正答している状況から、「数学テスト」を数学の解法で解こうとし誤答した32人の生徒の半数程度は理科の解法で正答できた可能性があると考えられる。鹿毛らは、ある特定の単元の学習指導を行う際にも、常に子どもたちが他の単元や他の教科で学んだ知識と関連づけるように指導することの重要性にも言及している(鹿毛?奈須,1997)。 したがって、多くの生徒に「学習の転移」を起こさせるためには、解法に自信のない教科の問題を共通性のある他教科の解法で解こうと試みる「関連づけ」が必要なことが分かる。 2)教科の独自の指導と相互補完の授業の必要性 ① 教科独自の指導の必要性 意識調査から理科→数学グループで、どちらのテストもそれぞれの教科の解法で解こうとした生徒は55人中31人おり、その中で難解な数学テストを数学の解法で解こうとして誤答した生徒は29人いた。このように難解な問題を文脈依存性に陥り誤答した生徒が非常に多いことが分かる。通常の授業では、両テストの共通性については一切触れないため、生徒に「数学テスト」は数学で学習した解き方、「理科テスト」は理科で学習した解き方で解こうとする意識がはたらくことは当然である。 意識調査から同じ解法で解決できる場合には、授業でふれて欲しいと回答した生徒は、109人中86人(78.9%)で、どちらとも言えない生徒19人を含めると計105人(96.3%)に達していた。 ② 相互補完の授業の必要性 光の単元では、光が反射するとき、入射角と反射角が等しいことを実験を通して見出させる。「理科テスト」終了後、生徒の1人が「入射角=反射角」(反射の法則)をもとに作図を試みたがうまくいかなかったことを告げた。実験に

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