理科教育学を構築し、分かる授業を展開する(石井 俊行 著) -奈良教育乐竞体育_乐竞体育app下载-官方网站 出版会-
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- 3 - ? 水流モデルと電位測定回路を用いた中学校電気単元の指導法 ? 凸レンズを通過した光が作る像の理解に関する基礎的研究:作図を完成する能力の影響について ? 数学と理科との関連を図った指導に関する研究:文脈依存性を克服した指導への提言 ? 化学反応式を書く能力向上に関する研究:化学反応式の完成を阻害する要因の究明 4.研究の内容の概略 以下に、『教科間における学習の転移を促す条件に関する考察とその提言:理科光の反射と数学最短距離の作図を通して』(科学教育学会:科学教育研究Vol.37(4),283-294,2013)の論文から抜粋したものを掲載いたします。 4-1.はじめに 理科と数学の内容は相互依存の関係にあり、自然の事象を対象とした理科の学習を数学の学習と関連させながら進めていくことは、生徒の科学に対する理解を深めるためにもとても重要である。 空気中を光が鏡によって反射して進む場合、媒質は同じであるため光の速さは変化せず、光が鏡によって反射して進む経路は最短距離の経路と一致する.このため、中学校理科における「物体からの光が鏡で反射して目に届くまでの経路を求める問題」と中学校数学における「最短距離を作図して求める問題」は解決方法の点で共通している。両者は、一見違うものに見えるが、共通の原理や構造がある.このような「作図」における理科と数学に関連する共通した題材をもとに、「学習の転移」を促す条件について考察した報告は見られない。 そこで、両者の問題を事象に取り上げて分析することで、「統合」の概念が萌芽するとともに、「学習の転移」を促す条件について解明できるものと考え、問題解決の際の「学習の転移」を促す条件について明らかにし、教科の独自性と理科と数学の相互補完のあり方について考察することを目的に行った。

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