学生がアクサユネスコ協会減災教育プログラムに参加しました ESD?SDGsセンター

ESD?SDGsセンター

ユネスコクラブの学生3名がアクサユネスコ協会減災教育プログラムに参加しました

IMG_9528

 9月20日から23日の3日間、仙台?気仙沼市で本学ESD?SDGsセンターの及川幸彦副センター長がコーディネートするアクサユネスコ協会減災教育プログラムが開催され、日本ユネスコ協会連盟との連携のもと、本学からも3名の学生が運営のサポートと減災教育の研修を兼ねて参加しました。

 このプログラムは、学習指導要領および ESD?SDGsを踏まえた、新しい視点からアプローチする防災?減災教育の基礎?理論や、被災地域の学校の教訓や経験、教育実践を全国各校の防災?減災教育の改善に役立てるためのもので、今年で10年目を迎える。これから教員を目指す本学学生は、全国から選抜された現職教員とともに本プログラムに参加することを通じて、防災?減災教育やESDの理論と実践を深く学ぶことができました。

 参加した学生からは、「実際に被災した気仙沼向洋高校で見た泥にまみれた教科書や制服に強いインパクトを受けました。災害に対して当事者意識が持てない児童生徒にこういった生のものを体験させたいと思いました。」「震災を経験していない階上小学校?中学校の生徒が強い当事者意識を持っていることが印象的でした。ESD/SDGsの理念に基づいた減災学習のカリキュラムや地域との連携システム、ドローンの活用などアップデートされた防災訓練など、将来教員になった時に防災?減災教育に活かしたい学びが多くありました。」などと話しました。

 

 ※本プログラムへの本学学生の参画は、日本ユネスコ協会連盟と本学との連携協力に基づいて本年度から実施されたもので、研修参加に係る学生のすべての費用は、日本ユネスコ協会連盟から支弁されました。

アクサユネスコ協会減災教育プログラムについて

IMG_9527

 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟がアクサ生命保険株式会社の協力を得て、災害時に地域の重要な防災?減災拠点となる学校の「防災?減災教育」を推進し、将来、地域の防災リーダーとなり得る児童?生徒を育てる支援事業です。2014 年から「アクサ ユネスコ協会 減災教育プログラム」を実施され、これまで、プログラムの助成により実施された教育活動に参加した教員、児童?生徒、地域住民は82,000人を超えています。さらに、のべ216校、300名近くの教員が助成校として教員研修会、活動報告会?減災教育フォーラムに参加し、その時の学びや他校とのつながりを活用しながら各学校において防災?減災教育を推進しています。
 本プログラムが提供する、学習指導要領および ESD?SDGsを踏まえた、新しい視点からアプローチする防災?減災教育の基礎?理論や、被災地域の学校の教訓や経験、教育実践を、各校の防災?減災教育の改善に役立てられている。本学ESD?SDGsセンターの及川幸彦准教授がプログラムコーディネーターを務めており、これから起こり得る災害やさまざまな困難に立ち向かい、物事を主体的に考え、解決策を見出す力の基盤となる、『生き抜く力の育成』や『多様な人と協働しながら社会的変化を乗り越え、持続可能な社会の創り手となる資質』を育む防災?減災教育をプログラムは推進しています。単なる防災教育ではなく、それによって持続可能な社会の担い手を育んでいく教育を学ぶことができるN助型プログラムです。

 参考:アクサユネスコ協会減災教育プログラム(外部リンク)

本プログラムにおける学生の役割と立ち位置

今回、学生3人は「教員研修会」を運営する学生スタッフとして参加しました。
参加学生:国語教育専修4回生 川田大登、社会科教育専修4回生 北野結衣、社会科教育専修2回生 木幡美幸

mission1

被災地であり、ESD減災教育先進地である気仙沼の学校、子どもたちから学ぶ。

mission2

全国の学校で減災?防災を推進していく先生方の考え方や姿勢に学ぶ。

mission3

運営に参画し、全国規模の教員研修の運営について肌で学ぶ。

研修日程

9月21日(1日目)

9:30 - 9:45 開会式(仙台)
9:45 -10:00 オリエンテーション(及川准教授)アクサユネスコ協会減災教育プログラム」の意義と提案性 持続可能な未来を創るN助型減災教育研修プログラム
10:00-10:50 講義「東日本大震災の教訓を未来につなぐ―大災害で生きた教育の力―」
11:00-12:00 講義「持続可能な未来の創り手を育てる減災教育~ESD/SDGsの視点からの減災教育の方向性とカリキュラムマネジメント」
気仙沼へ移動兼昼食
14:45-15:30 視察「被災地区の証言から学ぶ」
15:40-17:45 視察「震災遺構から学ぶ」(中学生語り部)
17:45-18:00 まとめ
19:00-21:00 懇親会

9月22日(2日目)

8:45 集合、移動
9:35 -12:20 視察「小学校における防災?減災教育の実践」(気仙沼市立階上小学校)
移動、昼食
13:45-15:35 視察と対話「中学校における防災?減災教育の実践」
移動
16:15-16:55 高校における防災?減災教育の実践(多賀城高校)
17:00-18:00 2日目の振り返り
18:45-21:00 懇親会

9月23日(3日目)

7:50 集合、移動
8:30 -9:20 講話「復興における本市教育の取り組み」
9:20-10:00 講義「防災?減災教育推進のためのネットワーク構築と実践」
10:10-12-10 ワークショップ「研修成果の共有と今後の展望~3日間の研修のまとめと共有~」
12:10-12:30 3日間の総括

学生3人の3日間の学び

本物の伝承者たれ

R0001871

 私はこの研修を通し、未来のために伝承していくことの重要性を理解することができた。伝承し二度と同じ事が繰り返されないようにすることは大切だと理解しているつもりだったが、実際に震災当時の学校や復興とともに変わりゆく景観を見て、語り部さんや階上小学校?中学校の児童生徒の話を聞く中で、自分の考えていた伝承はどれも他人事だと痛感した。多くの命が奪われた杉の下地区で実際に被災された語り部さんから、被災前の対策と震災発生時の行動?意識、今伝えたい想いを伺った。私たちが立っている場所で旦那さんを亡くされた語り部さんの様子は苦しそうだった。しかし、それでも私たちに「ここは絶対に安全なんて場所はない。遠く、高く逃げることこれだけは忘れないで。」と伝えてくださった。また、東日本大震災を知らない世代の小学生?中学生も危機感をもって伝承していた。想いをもち、どういう未来?街になって欲しいのか立派に発表している姿こそが伝承することの成果なのだろう。
 「この悲劇を繰り返すな 大地が揺れたらすぐ逃げろより遠くへ?より高台へ?」
 私たち自身も部外者ではなく、これを伝える伝承者でなければならない。そう強く決意することができた研修だった。
(社会科教育専修4回生 北野 結衣)

五感で学ぶESD減災教育

R0001988

 この研修から学んだことは主に二つある。
 一つ目は、当事者意識を持つことの大切さだ。
 階上中学校の生徒の方々の発表を見学させていただいた。震災を経験していない世代にもかかわらず、危機感等を持ち、震災を語り継ごうとされている姿勢がうかがえた。 これは、強い当事者意識があるからこそこのような姿なのではないかと考えた。 このような当事者意識は減災教育を行う教員も、受ける生徒も持てないと、得られる学びの質が異なるのではないかと考える。
 二つ目は、生のものがもつ影響力の強さだ。
 気仙沼市東日本大震災遺構?伝承館を訪問させていただいた。 実際に被災した気仙沼向洋高校の校舎や展示が私に与えたインパクトは大変強烈であった。また、被災された方の体験談も印象的だった。
 このような五感を通じて感じる雰囲気等はどんなものより強く私達に訴えかけるものだと改めて学んだ。
減災教育に関わらず、教育の場においてできる限り生のものに触れる活動は、子供達に様々な影響を与えるのではないかと考えた。
 この研修に参加させていただいて、より深くESDを学びたいと強く感じた。また、この経験を活かし、充実した減災教育が行えるような教員になりたいと思った。
(社会科教育専修2回生 木幡 美幸)

命を守ることにとどまらないESD防災

R0001773

 本研修のすべてのプログラムを終えた最後のまとめ、及川先生がおっしゃった「ESDは教育の本流である」という言葉を聞いて、雷に打たれたような思いがした。
 この3日間で、震災の証言や遺構を目の当たりにした。それだけではなく、その衝撃や教訓、減災に対する取り組みについて小学生や中学生に教えてもらった。その小中学校では、減災学習のカリキュラムを組み、校内体制、学校間、地域(自治会だけではなく警察消防などとも)との連携システムを構築していることを知った。高等学校での減災学習の取り組みも学んだ。そして、その源流には気仙沼市がずっと取り組んできたESDの実践があることをまざまざと見せつけられたのである。
 階上小学校の児童も階上中学校の生徒も、自分たちで課題を探究し考えたからこそできる発表をしたり、意見を持ったりすることができていた。私が特徴的だと思ったのは、それがほんの一部の子供なのではなく、ほとんどの子供である点である。
 一人一人が主体的に自ら学び、自ら考えて、持続可能な社会の創り手を育むような教育(ESD)が減災?防災教育を軸に展開されており、その方法を学ぶとともに重要性、必要性、必然性を痛感した。
(国語教育専修4回生 川田 大登)

カテゴリ   :   ESD?SDGsセンター
最終更新 : 2023-10-04 14:31