今回の『奈教の授業』では、「マルチメディア概論」を紹介します!
〈講義の基本情報〉
?対象:副免許プログラム高等学校「情報」の必修科目(2年次後期)
?受講者数:24名(2021年度)
どんな授業?
この授業は、高校「情報」の免許を取得するために必要な科目の1つです。
この授業では、身の回りにある様々なメディアについて、メディアの種類?特性および役割を理解し、それらを利用したコンテンツの作成?編集方法を身につけることを目指します。また、これらを高校「情報」の自らの授業で活用するための基礎を習得します。
授業の流れ
第1回では、オリエンテーションとして、高校「情報」の学習指導要領および解説を、特に、メディアに関連する内容にどのようなものがあるかに注目して確認します。また、メディアの種類?特性について学びます。
第2回から第5回では、高校「情報」の教科書に掲載されているメディアを活用した制作を取り扱う単元を題材に活動します。受講生は、それらを授業する教師として、その単元の到達目標を理解し、生徒に例示するためのサンプル作品を作成します。メディアのコンピュータ上での編集や加工方法を学ぶのみでなく、どのような工夫をすると、生徒らの到達目標の達成につながるかを考えながら活動をします。作品は受講生同士で、相互に評価しコメントすることで、他者の工夫を知るとともに、自らの作品を振り返り、さらなる改善を検討します。
図1:絵本を動画化した作品で、手書きの絵を使いつつ、アニメーションや音などを組み合わせて作成されています。
第6回から第8回では、技術の発展に伴って様々なメディアが登場していることを踏まえ、新しいメディアを使った教材やその活用の可能性を考えます。具体的には3Dプリンタの活用について取り扱います。近年、3Dプリンタの低価格化および普及が進むとともに、学校等にある一般のコンピュータやタブレットを使った3D造形が可能になっており、実現したい学びに合わせた教材の開発の選択肢が大きく広がろうとしています。ここでは、3Dプリンタでどのようなことができるのか、どのような形で教材開発に活かせるのかについて、その際に注意すべきことは何か、などについて、実際に3Dプリンタを使った制作を通して学びます。まず、3Dプリンタの最新の動向、3Dプリンタの種類や特性、3Dプリンタ用のデータ作成(3Dモデリング)の方法の概要と留意事項などを学びます。次に、3Dモデリングソフトの基本的な操作方法及び、以降で作成する教材について、3Dであることの意味と利点および教育効果を考慮して検討を行います。実際にデータの作成および3Dプリンタでの出力を行います。出力したものについて、教材としてのねらいと活用の方法とともに受講生同士で共有し改善を考えます。
図2:3Dデータモデリングの練習として作成した「なっきょん」
図3:図2のデータを実際に3Dプリンタで出力したもの
第9回から第11回では、コロナ禍において教育活動でもより多く利用されるようになっている動画について、その制作及び編集の基本を学びます。前回までの活動を活かし、子ども向けの3Dモデリングソフトの解説マニュアル動画の作成を行います。これにより、対象?目的に応じた動画の作成のために、どのような内容?構成とすべきか、またそれを実現するための具体的な動画編集技術にはどのようなものがあるかを学びます。
図4:3Dモデリングソフトの解説マニュアル動画の一場面
第12回から第14回では、教師になった場面を想定して、授業前に自宅で学習できるような反転授業用の動画教材を作成します。そのために、まず、動画の基本で学んだ内容を活かし、動画教材を評価するためのルーブリックを作成します。作成したルーブリックを踏まえつつ、反転授業を設計し、指導案を作成するとともに、そこで活用できる動画教材を作成します。作成した指導案と動画教材をルーブリックに基づいて相互に評価を行います。このよう活動を通して、より効果的な動画教材の作成に必要なことは何かということについて考えます。
実際に作成された動画教材では、ホワイトボードを使って受講生が講義している様子を録画?編集したものや、パワーポイント教材をベースに音声を吹き込み作成されたものなど、内容に合わせて、それぞれ工夫がなされています。
第15回には、全体のまとめと振り返りを行います。
担当教員よりメッセージ
2022年4月から、高等学校においても新しい学習指導要領がスタートしたことに伴い、これまでの「情報」は、情報Iとして必修となりました。情報Iはプログラミングやデータ分析などの内容の充実が図られるとともに、乐竞体育_乐竞体育app下载-官方网站入学共通テストにおける出題科目の1つとなるなど様々な点で注目を集めています。そのような「情報」を指導できるように、「情報」に必要な他の科目とも連携しながら、内容の改善に務めています。
なお、「情報」の免許の取得を希望していなくても、受講することが可能ですので、教師として様々な教科においてメディアを活用できるようになりたい、という方は是非受講してみてください。
※この記事は、2022年4月現在の情報をもとに作成されています。
記事をお読みいただきありがとうございました!ぜひなっきょんナレッジに関するアンケートにもご協力ください。