今日は英語教育専修の門田研究室を訪問します。こんにちは!
こんにちは。
早速ですが、先生は何を研究されていますか?
19世紀前半の英文学が中心だけど、今日は世界的に大人気の小説家ジェイン?オースティンについて話そうか。
ぜひ、お願いします!
ジェインはとても人気のある作家なんだ。文学系の学会は会員が多くないけど、オースティン学会は会員数が増えているんだ。
先生はなぜジェインの研究を始めたのですか?
女子学生にもてるため(笑い)もあるけど、在外研究でイギリスに行ったとき、ジェインのお父さんの療養地バースに行ったんだ。ここで、彼女は5年間を過ごしたけど、一篇も作品を書いていない。バースの旅行案内所のお姉さんに教えてもらって行ったけど、それらしい家がない。
困り果てて、近くを歩いていた老夫婦にジェインの家を尋ねたら、二人とも驚いて叫んだ。「なんて運のいい奴だ。私たちがその家のオーナーです」。話が弾みジェインの家に着いたら、個人宅なのに中に上げてもらった。間取りを説明し、将来は博物館にする予定だって。今は、立派な博物館だよ。先生は博物館になる前の第1号の訪問客だったんだ。
ジェインの家の表札、バース
バースの社交場パンプ?ルーム
すごい偶然ですね。ジェインに導かれたみたい。
そうかもね。オーナーさんに、ジェインはここで1篇の作品も書かなかったと言うと、おじさんは微笑んで「たったの5年じゃないか。将来のためにエネルギーをためていたのさ」と言う。実にイギリス的な答えだね。5年なんかどうでもいいよ。その後、彼女はチョートンでばりばり仕事をしているし。
喫茶店カッサンドラズ?カップ越しのチョートン?ハウス
ジェインの代表的な作品にはどんなものがありますか?
ジェインは主要小説を6篇書いているけど、先生はすべて論文にしたよ。一つの短編も論文にした。
いちばん有名なのは『高慢と偏見』だね。高慢を表すダーシーと偏見の持ち主エリザベスの恋愛物語で、両者とも互いを補い成長するんだ。『分別と多感』は美人で情熱的な妹メアリアンと、お堅い姉のエリナーが互いに違う性質を獲得して成長する。『ノーサンガー?アビー』は一見して賢いヘンリーがキャサリンを成長に促しつつ、ヘンリー自身も男として立派になる。『エマ』はナイトリー氏に叱られて成長する世間知らずのお嬢様の物語だね。
ふむふむ。それで、先生はどんなふうに研究しているんですか?
まずは、作品を楽しむことが第一だよ。すると、言葉が網の目みたいに繋がっているのがわかる。
一つだけ例を挙げると、『エマ』の中でヒロインは二十歳そこそこで結婚はしないと言い張る。そのくせ、人の結婚には口出しする。不思議だよね。
でもよく読むと、理由がわかる。エマは病弱なお父さんの介護をしながら暮らしている。そのため回りの人には立派な娘だと言われるし、家の地所の管理まで任されている。でもね、長子相続制の原理で、エマには相続権がないの。それで、もしエマが結婚してお父さんが亡くなると、遺産は将来の夫に持って行かれちゃう。結婚せずにお父さんが亡くなると、姉の夫に遺産を取られ、エマは姉の家の居候同然になるんだ。だから、お父さんがやっと生きている状態が一番いいの。現状がエマには最高なんだけど、これじゃ女の幸せにはほど遠いよね。『エマ』の陽気な世界の裏には、ヒロインのフラストレーションが書き込まれているんだ。この後、エマは自分のエゴを発散して、年上の恋人に叱られて人間的に成長するんだけど、それは話を読んでからのお楽しみ。
こんな感じで、先ずは作品を楽しむのが第一だよ。必要があれば、伝記とか、書簡集とか、社会環境とかを調べてみるといいよ。回りから攻めるとちょっとしんどいからね。
面白そうですね。研究してみたいな。
それはいい考えだね。なっきょんも英語力を身に付けなくっちゃね。
勉強がんばります!今日はありがとうございました!
※この記事は、2021年12月の情報を元に作成されています。
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